抱くと痛がる?~Part.2~
2017 / 05
3月の「抱くと痛がる?~Part.1~」に続き、背骨のヘルニアについてのお話しです。
軟骨異栄養症以外の犬たちでも
老化現象により椎間板が変形し脊髄を圧迫する場合があります。8歳を過ぎた高齢犬に多くみられ、徐々に進行するのが特徴です。
軟骨異栄養症ばかりでなく大型犬をはじめとしてあらゆる犬たちに起こる可能性があります。
痛みだけではない
軽度の圧迫では痛みを訴えますが、圧迫の程度が重度になると麻痺(しびれ)が生じます。排便や排尿をつかさどる神経にも麻痺が及ぶと、尿・便の失禁や逆に尿が出ない状態となり、後遺症がのこるケースもあります。
神経麻痺を確認するには
3月の「抱くと痛がる?~Part.1~」でふれたように、脊髄と足を結ぶ神経には「知覚神経」と「運動神経」があり、互いに別方向に信号を伝えています。その仕組みを利用した検査を始めに行います。
- 足先をひっくり返して甲を地面につける
→ 裏返しになったことを甲側の皮膚が感じ取る
→ 「知覚神経 → 脊髄 → 脳」の順にこの情報が伝わる - 脳は元に戻せと信号を出す
→ 「脊髄 → 運動神経 → 足の筋肉」の順にこの信号が伝わる
→ 筋肉を動かし、足を元に戻す
もし1と2が反応しないまたは遅れる場合には、神経伝達に異常がある可能性があり更に詳しく検査を行う必要があります。
治療方針として
神経麻痺の程度により、投薬治療か手術治療が選択されます。
重度の麻痺にはタイムリミットがあり、早期に手術を行わないと手遅れになるので注意が必要です。
投薬治療の場合は患部を特殊なギプスで固定して、動かさないようにするとより有効です。
一度神経にダメージをうけると現状では再生は困難です。もし足に力が入らなくなったら「ヘルニアかも?」と疑ってください。