超音波の普及で…
2014 / 02
動物医療も、聴診器と往診カバンという時代から、レントゲンや血液検査機器の普及、そして今では超音波の診断装置(エコー)が充実してきています。
今回は、手術なしに超音波で診断出来るようになった「胆嚢粘液嚢腫」について触れてみたいと思います。
胆嚢とは?
「胆汁」を貯めている袋が胆嚢です。胆汁は肝臓で作られ、赤血球が分解された成分(ビリルビン)も含まれています。胆汁は小腸で分泌され、食べ物の消化を手伝います。
胆嚢粘液嚢腫とは?
胆嚢に「粘液」(液体のこんにゃく状)が溜まっていく病気です。超音波が普及するまでは、この診断は手術以外に困難であり、少し古い教科書にはこの病名すらありませんでした。
胆嚢粘液嚢腫の原因は?
原因が不明な部分もありますが、ホルモンの異常や高脂血症が一部関係していることがわかりました。胆嚢粘液嚢腫が悪化しない限り、ホルモンの治療や低脂肪食等を併用することもあります。
胆嚢粘液嚢腫が悪化すると…
- 粘液が、胆汁の流れ道(胆管)に進入して詰まる
→胆汁が行き場を失い肝臓へ逆流してしまう
→重度の肝臓の障害→食欲不振・嘔吐・黄疸など - 胆嚢への血行障害や胆汁が漏れ出る
→胆嚢が破裂
→胆汁(消化液)による腹膜炎→重篤な状態
胆嚢粘液嚢腫は簡単に確認できます。特に高脂血症や肝機能に異常があるワンちゃんでは、病気の予防として定期的に胆嚢の超音波検査を受けましょう。