偽妊娠でも乳腺腫瘍でもありません
2023 / 07
若い猫たちが急に乳腺が腫れることがあります。
今回は「乳腺の過形成」についてふれてみたいと思います。
偽妊娠
犬たちは個体差こそありますが、発情後に多少乳腺が腫れます。さらに進むと、あたかも妊娠したかのように、明らかに乳腺が腫れ、白い乳汁の分泌・巣作り・食欲不振などの行動を示すことがあります(偽妊娠は発情のたびに繰り返します)。
一方で猫たちは、交尾などの刺激が起きない限り排卵しませんし、たとえ排卵してもホルモンが出ないために偽妊娠らしきものは一般的にみられません。
乳腺腫瘍
犬も猫にも乳腺腫瘍がみられます。良性と悪性があり悪性なものは「乳癌」と呼ばれます。猫では乳癌の可能性が高い傾向にあります。
早期の避妊手術が有効です。
乳腺の過形成
卵巣からの黄体ホルモンの影響で、特に若い年齢の猫たちの乳腺が急に大きく腫れることが特徴です。初めて発情が起きる前・妊娠後・避妊手術直後でもみられます。
乳腺組織の過形成ですので乳汁の分泌や痛みなどはありませんが、擦れて舐めて感染症等が起きた場合には炎症や痛みを訴えます。
この過形成を改善させるために避妊手術をしても効果が薄く、抗ホルモン剤を用いますが改善には時間を要する場合もあります。