かつてメジャーな病気でした
これからの寒い時期、排尿トラブルが多発しますので、今回は猫の尿路結石(結晶)の話題を取り上げます。
「猫の泌尿器症候群(FUS)」という言葉を、キャットフードの袋などでご覧になったり、病気の掲示などでご覧になったことはありませんか。
「猫の泌尿器症候群(FUS)」とは
猫の排尿異常を中心とする病気の総称を意味しています。
その主な原因は尿結石(結晶)で、とくに「スツルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)」とよばれる成分が一番多く検出されます。
スツルバイトの原因は?
食餌成分に問題があったり、尿がアルカリ状態にあるとき、また膀胱内の細菌の影響などが考えられます。
ただ、あくまでも個人的な体質が一番大きく関与しており、同居の猫たちでも個人差があります。
余談ですが、少し前まで、ある市販のキャットフードを食べている猫たちには、お決まりのようにスツルバイトが多くみられました。
その症状は?
トイレに行く回数が増え(頻尿)、尿が赤く(血尿)になることもあります。
また、膀胱が空の状態でもトイレに入ったまま出てこない(残尿感)こともあります。
最悪の場合には、尿道が完全閉塞してしまい、その結果として尿毒症に陥り、痙攣・心停止という最悪な経過をたどることさえあります。
対処法は?
尿が十分出ているかのどうかの確認と、排尿の処置が最も重要です。
尿が出ていれば、尿検査や身体検査などで病因を探り、状態に応じた投薬や食餌療法を講じる必要があります。
予防法は?
最近、市販のキャットフードに「猫の泌尿器症候群(FUS)」に対応した商品が多く普及してきています。
多くの猫たちには、対応した市販食で予防が可能です。ところが一部の猫たちには、どうしても動物病院の強化された治療食に頼る必要があるようです。
覚えておこう!
結晶のできやすいという「体質」というものは、基本的に変わるものではありません。
そのため、生涯にわたり、結石体質とつき合っていく必要があります。
毎日、トイレの状態(尿の量や色)を確認し、元気・食欲を観察することが何より病気を早期に発見できる秘訣といえるでしょう。