子宮に膿がたまります!
今回は「子宮蓄膿症」と呼ばれる病気についてお話しましょう。この病気は名前の通り「子宮」に「膿(うみ)」がたまります。
原因は?
たいてい7~8歳以上の中年期以降の動物たちに起きますので、おそらく「卵巣の老化現象」のひとつであろうと考えらます。
本来、卵巣から分泌されるホルモンは子宮に対し、妊娠の準備や維持をするなどの役割を果たしています。
ところが、この卵巣ホルモンが異常な分泌をおこなうと、子宮の粘膜が異常をきたし、さらには細菌などに感染されやすい状態となるため「子宮蓄膿症」が発生するといわれています。
症状は?
発情(シーズン)が終了してから1~3ヶ月後に多く発症するのが特徴です。
重症度により以下の症状がすべて起こるわけではありませんが、元気がなくだるそう・食欲不振・嘔吐・のどが渇く・尿の色が薄く量が多い・おなかが急に膨らむ・陰部からの分泌物があるといった症状がみられます。
膿の正体である「細菌」「細菌の毒素」「細胞の死骸」などが体内へ吸収されたり、子宮から漏れ出すと、急激な全身状態の悪化、さらにはショック死を招くことさえあります。
そのため「子宮蓄膿症」はたいへん怖い病気だといえます!
特に猫は子宮の構造上、膿が子宮から体内に漏れやすく、重篤になりやすい傾向にあります。
治療は?
点滴や抗生物質を投与し、少しでも全身状態をよくしたうえで、手術によって病んだ子宮・卵巣を取り出します。
ただ、麻酔時や手術中および術後に、容態が急変する恐れが十分ありますので、治療中に不測の事態に陥る可能性を、飼主さんにご理解いただくことが必要です。
予防できるの?
若くて健康な時期に避妊手術を受けておくことです。昔と比べ出産で子宮を使うことが減ってきているためか、「乳腺腫瘍」と同時に子宮蓄膿症も増えてきています。
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