マダニからの新感染症

2013 / 04

本格的な春を迎え、マダニが活発に活動する時期になってきました。そこで今回は、マダニからの新感染症「重症熱性血小板症候群」について触れみたいと思います。

これまでの経過

2010年、マダニによるウイルス感染症がお隣の中国で確認されました。日本国内でも、同様な症状を示した患者さんがみられたため、念のために保存されていた血液を検査したところ、遺伝子こそ中国とは違うものの、同ウイルスによる感染症であることがわかりました。

重症熱性血小板症候群とは

ダニからウイルスがヒトの体内に侵入することにより発症します。高熱・下痢・嘔吐・血小板や白血球の減少が主な症状で、死亡率が約12パーセントといわれています。
多くの患者さんの年齢が50歳代ということですので、免疫力の低下が何か関与しているのかもしれません。一方で、犬や猫たちには、この病気の発生は日本国内では報告されていません。

マダニの感染

はじめ数ミリと小さいマダニ(フタトゲチマダニ)は、草むらに潜んで、誰かが近寄るのをじっと待っています。ヒトや動物が通りかかると、早速飛びついて捕りつきます。数日間、ヒトや動物を吸血し続け、数ミリだったサイズが目に見えるくらいに大きく(約10ミリ)膨らみます。
問題なのは、ダニがヒトを咬んでも「痛みを感じさせない」ことです。吸血をされていてもなかなか気付かず発見が遅れることにつながります。これは、ダニが分泌する一種の「麻酔薬」による作用だと言われています。

感染を防ぐには

この病気は、残念ながら有効な治療法も予防注射もありません。そのため、長袖・長ズボンをはいて、ダニの感染を防ぐしか方法はありません。
また、犬や猫の場合には身体につけてダニを家に持ち込む恐れがありますので、定期的に有効な予防薬を使用しておくことが肝心です。

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