脂肪種と似ていますが怖いものです… 肥満細胞腫
2010 / 07
皮膚にできる腫瘍(しこり)のなかには、たいへん怖いものがあります。今月は「肥満細胞腫」について考えていきましょう。
肥満細胞とは?
体の防御やアレルギーに関係する細胞で、身体のいたるところに存在しています。
肥満細胞腫とは?
正常な肥満細胞が悪性腫瘍に変化したものです。
その原因は明らかにされてはいませんが、皮膚へ継続的に刺激が加わった、ウイルス感染が腫瘍化に何らしかの影響があるとされています。
肥満細胞腫の特徴は?
犬の場合、皮膚にしこりが発見されます。
胸・お腹はもとより、お尻の近く・肢(あし)などいたる部分に見つかります。
短い時期でしこりが大きくなるものは、悪性度が高い傾向にあります。
残念ながら見た目や触った感触などには特徴はありません!
軟らかく「脂肪種」に思えたものが、検査の結果「肥満細胞腫」ということもあります。
危険な理由
腫瘍細胞が広範囲に「根を張る」(広がって増える)性質があるため、通常に切除をおこなっても「再発」する可能性が非常に高いという性質があります。
もちろん悪性の腫瘍であるために「肝臓」「脾臓(ひぞう)」「骨髄」などへ「転移」することがあります。
その他、肥満細胞から多くの化学物質が分泌されるため、胃潰瘍や出血傾向(血が止まりにくい)になりやすくなりますので、これらの対策も同時に必要になります。
対応の基本
このような性質のために、小さいうちに「広めに大きく」切除しておくことが肝心です。
また、病理組織検査で腫瘍の悪性度を知っておくことです。
検査の結果によって、これからなすべき治療方針(放射線・抗がん剤等)が決まります。
皮膚の腫瘍の10~20%はこの「肥満細胞腫」です。
見た目での診断は非常に困難ですので、見つけたら早めに検査をしましょう。