市内で診断された感染症~Part.2~
今回も横浜市獣医師会会員から得られた、市内で発生した感染症についてふれてみたいと思います。「市内で診断された感染症~Part.1~」もあわせてご覧ください。
猫伝染性腹膜炎
下痢などを起こす猫コロナウイルスの一部が、悪玉の猫伝染性腹膜炎ウイルスに突然変異することがあります。猫の体内で強い炎症を引き起こすため、腹水や胸水などが貯まり結果死亡に至ります。たとえ致死的な症状を上手く逃れたとしても、体内に腫瘍のような塊や臓器不全・神経症状などの悪さをします。猫伝染性腹膜炎の治療は症状を抑える対症療法がメインになります。一方で新型コロナウイルスの治療薬が有効だと報告されていますが、かなり高額な治療費を必要とします。
猫白血病
猫白血病ウイルスによる感染症です。唾液などから簡単に感染を受けるためにグルーミングや飲み水・胎盤感染するといわれています。このウイルスは名前の通り白血病を引き起こします。また風邪をひきやすくなる、下痢・口内炎ができやすくなるなど身体の免疫力を低下させる症状が起こります。特別な治療法はなく、現在猫白血病ウイルスワクチンが利用できます。
猫免疫不全
主にケンカ傷や交尾でウイルス感染を受けます。人と同様に潜伏期があり発症すると免疫不全に陥ります。下痢から始まり繰り返す口内炎・鼻炎・目ヤニがみられ徐々に痩せてきて最後は敗血症になり死亡することがあります。
特別な治療法はなく、今ではワクチンも利用できなくなりました。予防策は猫との接触や喧嘩を防ぐ目的から不妊手術を行うことと猫を外出させないことが重要です。
レプトスピラ感染症
おもに野外のネズミの尿から菌の感染を受けます。犬と同様に人にも感染します。はじめは発熱や倦怠感から元気がなくなります。さらに細菌が腎臓や肝臓などに悪さをすると黄疸で体が黄色くなり、治療が遅れると死亡することもあります。
MRSA・MRCNS
多くの抗生物質が効かない細菌(ブドウ球菌)です。抗生物質を投与し続けると菌が強くなって(耐性)抗生物質の効果がなくなってきます。
耐性菌を減らすには、有効な抗生物質を適切な量で適切な期間投与する必要があります。よくない例として調子がいいからと一回休むなどといった使い方はやめましょう。この細菌は人と動物の間で行き来します。