より長生きするためにPart1
2006 / 12
「猫の慢性腎不全」において新しいお薬が承認されました。今回はこのお薬の紹介をする前に、もう少し踏み入って、慢性腎不全についてのお話をしたいと思います。
また「猫の慢性腎不全」について少しでも理解していただくため 2005年12月のプチ報「かんじんかなめ…?」 もご参考ください。
腎臓はどんな働きをするの?
老廃物を尿として排泄させます。体で作られた老廃物は、血液にとけて全身を巡り、腎臓にたどりつきます。
そして腎臓にある「ネフロン(糸球体)」とよばれる部分の「ろ過」作用によって老廃物を取り除き、尿(老廃物)を作りだします。
腎不全は「進行する病気」
ネフロンの数が減少したりして、全身の老廃物がたまってしまう病気です。そして一番覚えておきたい点は、腎不全は「進行する病気」であることです。
一度消えたネフロンは、2度と再生されません!そして後半の進行は急速に進みます。
腎臓には余力が備わっており、たとえ腎機能が半分に減ったとしても、なんら問題は生じません。
しかしその余力のために、なかなか自覚症状が起きにくく、病気が進行してはじめて異常に気づき来院される場合がほとんどです。
何が原因なんだろう
色々考えられていますが、猫たちでは加齢や何らかの感染症、長年の食餌内容及び一部過酸化物質の影響もあるといわれています。
どんな症状がでるの?
以下、1→2→ と進行していきます。(これらの症状はそれぞれ重複することがあります)
- 自覚症状はありません。
- 尿が薄くなり尿量が増えます。
のどが渇きます。 - 食欲不振や時折嘔吐します。
徐々に痩せてきます。 - 水を飲んでは吐くといった症状や倦怠感(だるそう)、食欲がなくなります。
- ほとんど寝たきりです。
食欲がありません。
神経痙攣を起こします。 - 神経発作を起こし死亡します。
次回は、腎不全の治療面を中心にお話します。