より長生きするためにPart2

2007 / 02

今回は、昨年12月に引き続き、猫腎不全の新しい治療薬のお話とその治療法のお話です。
2006年12月のプチ報「より長生きするためにPart1」 及び 2005年12月のプチ報「かんじんかなめ…?」 もご参考ください。

新しく承認されたお薬

この治療薬は昨年猫に正式認可されたもので、血管を拡張させる作用(血管拡張薬)を持ち、本来は「心不全」の治療に用いられるものです。

なぜ腎不全に拡張薬?

前回お話したように、ネフロンが減少し腎不全になると体内の老廃物の排泄できなくなります。
このとき腎臓は、ネフロンの出口側の血管を収縮させることによりネフロン内の圧力を高め、多くの尿を産生します。
このような血管収縮作用は老廃物を取り除くには有効ですが、その一方でその無理な負担からネフロンを傷めることになり、ついには、ネフロンの消失(腎不全の進行)を早めることになってしまいます。
また血管収縮機構が全身の血管にも影響を与え、俗に言う「高血圧症」という状態になる場合もあります。
高血圧の有害作用としては、視力障害・心臓の肥大化および神経系の異常が知られています。
つまりこの血管拡張薬は、高血圧に陥っている状態を抑制させることで、腎臓においてはネフロンを長生きさせることにつながるのです。

その他の治療法は?

体内の老廃物の除去には「人工透析」が一番有効ですが、残念ながら動物の場合、実用的ではありません。
そのため「点滴」を行うことにより、強制的に尿を多く作らせて老廃物を取り除く方法が一般的です。
また、特殊な活性炭を服用することで「腸管」からの除去という方法もとられています。そのほか、臨床症状や状態に合わせた治療を複数組み合わせて治療します。

定期的に健康診断を!

以前にもお話したとおり、腎不全は進行する病気ですので、上記のどの治療を行っても限界があります。
そのため、題名のように「より長生きするために」は、早期診断・早期治療がなによりも大切です。
症状にあらわれず徐々に進行する病気なので、7~8歳過ぎたら、少なくとも1年に1回は、尿検査を含めた健康診断を受けることが大切です。

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