外耳の恒常性
2013 / 03
1月は「外耳炎」の新しい治療法について触れましたが、今回は外耳の正常な機能を中心にお話をいたします。
外耳とは?
外耳とは、耳の入口~鼓膜まで「耳道」と呼ばれる管を示します。その奥には、中耳・内耳があります。
犬・猫たちの外耳道は、ヒトのとは違い、途中で「L字状」に折れ曲がっています。(これが外耳炎を増悪させる原因にもなっています。)
外耳道には、被毛・皮脂腺・汗腺などが備わり、さらに常在する微生物が生息しています。
健康な外耳は「恒常性」が保たれている
健康な外耳は、被毛・皮脂腺・汗腺などの働きで、耳垢などの老廃物を自然に外に排泄させる機能を持っています。
また、常在する微生物が、増えず減らずバランスを保って維持されているために、病原菌の侵入や増殖を防いでおり、外耳では「恒常性」が保たれています。
「恒常性」を乱す原因には…
この恒常性が少しでも崩れると「外耳炎」の原因になってしまいます。
- たれ耳の動物(通気性が悪い)
- 脂漏体質(皮脂などの分泌が多い)
- 耳の毛が異常に多い
- 狭窄(耳道が塞がる)しやすい体質である
- アレルギー体質
- 腫瘍(ポリープ)がある
- 不適切な耳のケア…
外耳炎が長引くと…
外耳炎が長引くと、外耳の皮膚や軟骨が大きく腫れて耳道が塞がり、より「恒常性」が失われることになります。そして、より老廃物がたまる、病原菌が増殖するなど、外耳炎が重症化することになります。
最悪な場合には、困難な手術(近くに神経があるために、術後の後遺症の可能性)にて手当をする必要があります。